たとえこれが、何かの罠だったとしても。

18.ハッピーエンド

ートントン

「はーい」

扉を開け、思わず固まってしまう。

「伊吹さん…」

伊吹さんは、何も言わずに私を抱きしめた。

「ちょ、伊吹さん!?」

「楓の、天然なとこ、優しいとこ、1度決めたら揺るがないとこ、料理が得意なとこ、少し不器用なとこ、笑った顔もとびきり可愛いとこ…。おまえの全部が、愛しくて仕方ない。俺は楓のことが好きだ。大好きだ!」

「伊吹さん…。私も、伊吹さんが大好きです〜!」

「うん、知ってる」

「っ!もう、意地悪ですね…」

私は、伊吹さんに本当に救われた。

気持ちは大きくなるばかりで、いつも伊吹さんにドキドキしっぱなしだった。

「私、伊吹さんに避けられて傷ついたんですからね?」

「ごめん。俺、目が覚めたよ。これからは、楓と俺のために生きていく」

「はい、そうしてください」

沈黙と同時に、2人で笑いだす。

「俺、世界で一番の幸せ者だ」

「そんなの、私だって!」

満月の晩、明るい月明かりが私たちを照らしていたー。

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