たとえこれが、何かの罠だったとしても。
またすごい本を読んでるなぁ。

伊吹は、うちの会社の後継者になる予定だ。

お父さんも伊吹のことをとても信頼していて、よくお父さんの仕事の手伝いを頼んでいる。

「伊吹、ハグして?」

「…はっ?」

伊吹の背中に手を回し、ぎゅっと抱きつく。

気のせいか、伊吹の体に力が入ったような…?

「どうした、急に。甘えたいのか?」

「うん、寂しい…。私にも構って?」

「っ!」

伊吹の甘い唇が、優しく何度も触れる。

「んっ」

でも、しばらくすると、はっと何か思い立ったかのようにやめて、私に背を向ける。

やっぱり、私の魅力が足りないのかな…。
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