たとえこれが、何かの罠だったとしても。

伊吹サイド

最近、楓の様子がおかしい。

急に抱きついて来たり、上目遣いでおねだりされたり。

しまいには、『ちゅーの続きは?』なんて言ってくるし。

あれはヤバかった。

しかも、今の状況も状況だ…。

楓の足が俺の足に絡みつき、がっちりホールドされている。

しかも、抱きついて俺に密着している。

背中に感じる柔らかい感触は、胸、だよな…。

極めつけは、ことあどけない表情で眠るこの顔。

俺だって男なのに。

なんの警戒心もなく寝ているのも複雑な気分だ。

俺には、手を出したくても出せない事情ってものがある。
< 197 / 220 >

この作品をシェア

pagetop