たとえこれが、何かの罠だったとしても。
『伊吹、おまえ。楓に手を出してないだろうな?』

『はい、もちろんです(まだ)』

『今、まだって言っただろ…?』

『い、いえ』

本当に怖い。

一刻も早く、この部屋から立ち去りたい。

旦那様は洞察力が高く、嘘をついてもすぐバレる。

『もしお前が、高校生である楓に手を出した場合、俺はお前をどんな手を使ってでも潰す。いいか?どんな手を使っても、だ…』

何をするつもりだ、この人…。

もしも俺の理性が壊れたら、俺は存在ごと消されるのかもしれないな。

『それはつまり、高校卒業まで一切手を出すなってことですか?』

『ああ、そうだ。…約束は守れよ』

『…はい』

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