たとえこれが、何かの罠だったとしても。
旦那様の二重人格にも、だいぶ慣れたと思っていたが…。

楓への態度と俺への態度は、まるで別人だ。

容姿も整っているし、この人は俳優としてもやっていけそうだ。

会社の社長をしていることが、少し勿体なく感じる。

とはいえ、この人の手腕により西園寺グループは今もこの財力を成しているわけだが…。

奥様には会ったことがないけれど、こんな人を好きになるなんて、多少変わり者だったに違いない…。

『おい、さっきから失礼なこと考えてるだろ?言ってみなさい』

『い、いえ。とんでもないです!失礼します』

俺は、逃げるように旦那様の部屋を後にしたー。
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