たとえこれが、何かの罠だったとしても。
お兄ちゃんが亡くなって、もうこの世の全てがどうでも良くなった。

追い打ちをかけるようにお母さんも亡くなって、私はもう死にたいと本気で思った。

…でも、それでも頑張ってきたのはお兄ちゃんのおかげだ。

命をかけて私を守ってくれて。

『楓にすてきな王子様が現れるまで、俺が見守ってるから』

お兄ちゃんが、私に遺してくれた言葉。

王子様って、伊吹のことだったんだね…。

「ありがとう、お兄ちゃん」

「どうした?」

「ううん、なんでもない!」

これからもずっと、伊吹やみんなと一緒にいられますようにー。
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