たとえこれが、何かの罠だったとしても。

伊吹サイド

ガキ共に散々からかわれ、俺は不機嫌だった。

「もしかして伊吹さん、この期に及んで怖くなったとか?だったら俺が変わりますよ」

「そんなわけないだろ!ていうか、誰がおまえなんかにあげるかよ!」

鋼に楓を取られる…。

想像しただけで、殺意が湧いてくる。

「でも伊吹さん、楓のこと俺にくれるって言ってましたよね?」

「はあ?言ってねえよ!」

「いや、言ってましたよ。『楓を、幸せにしてやれよ…』って」

「おまえ!そんな言い方してないだろ!」

俺の真似をしているのだろうが、その口調が妙に腹立たしい。

「そういうお前も言ってたよな。『俺には楓を幸せにすることができないんだよ!おまえじゃなきゃダメなんだよ…』って」
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