たとえこれが、何かの罠だったとしても。
翌朝ー。
柔らかい日差しが差し込む春の朝。
もう8時になるというのに、楓がまだ起きて来ない。
楓は休みの日でも、平日と同じ時間に起きる習慣がある。
旦那様もそろそろ出勤時間のため、楓のことを気にしている様子だ。
「楓の様子見てきます」
「ああ、頼んだ」
部屋の前まで来てみたものの、まだ部屋の明かりはついていない。
勉強でもしているのかと思ったが、まだ寝ているのだろうか?