たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「そうか。じゃあ、無理しなくていいけど」

そう言って、茶碗に入ったお粥を渡してくれた。

中身は卵がゆのようだ。

上には、刻んだネギも入っている。

「わあ!おいしそう…」

「はい、あーん」

「ん、…」

「どうだ、おいしいか?」

少し緊張した顔に、手に巻かれた絆創膏。

そしてこの甘い味…。

「このお粥、伊吹が作ったでしょ?」

「なっ!なんで分かったんだよ…」

「だって、怪我してるし」

私に指をさされ、気まずそうにする伊吹。
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