たとえこれが、何かの罠だったとしても。
伊吹が唇を離した時には、私の息はあがっていた。

「ちょっと!私、風邪ひいてるんだよ!?移っちゃうじゃん!」

「風邪は移せば早く治るんだよ」

ハスキーボイスで耳元に囁かれ、心臓が高鳴る。

もう、なんなの…。

心なしか、体が暑い。

でもこれは、風邪のせいだ。

こんなにドキドキするのも、熱いのもー。
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