たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「涼、おまえやっぱり、アホだな」

「な、なんだと!?」

「おい、伊吹のバカが風邪引いたって?…ったく。治ったら、馬車馬のように働かせるからな」

旦那様は、頭痛にも勝るくらい怖いことを言う。

まあ、いつも馬車馬のように働かされていますけど…。

「そうだ、涼。おまえの知り合いに、いい男いるか?」

「え、あ、はい。伊吹はいい男ですよ!」

「…」

恥ずかしいからやめろ!

「そうじゃない。楓の見合い相手を探そうと思ってな」

とんでもない爆弾発言に、俺も涼も固まる。

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