たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「え、旦那様。楓は俺が貰うって言いましたよね?」

「そうですよ!楓ちゃんも、伊吹にベタ惚れじゃないですか!」

ベタ惚れって、そうか?

…いやまあ、そうなら嬉しいけど。

「やめろ、言うな!…なんで楓はこんな男が好きなんだよ!?」

床に崩れ落ち、この世の終わりだとばかりに叫んでいる旦那様。

失礼だな。

「とにかく!俺は約束を破るやつに、楓を嫁には渡さない!」

やはり、旦那様にバレてしまった。

『変なこと』を勘づいたのだろう。

< 219 / 220 >

この作品をシェア

pagetop