たとえこれが、何かの罠だったとしても。
幸せな気分に浸っていると、

「おい、あんまり食べると太るぞ」

「う、痛いところを…」

「櫻庭さん、そういうデリカシーのないことを言わないでください」

「空気読めよ」

胡桃に加えて鋼までも、伊吹さんを非難する。

どうしようと思っていると…。

「そういえば、どうして楓は櫻庭さんのこと名前呼びなの?」

「確かに怪しいわね」

「そ、そんなことないだろ!」

さっきまで、顔色ひとつ変えていなかった伊吹さんが慌てている。
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