たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「おい、そっちこそ、その汚い手を離せ」

伊吹さんが、私の腕を掴んでいた男の手を捻りあげる。

「いててててっ!なんだ、こいつ!痛えなクソが!」

もう一人の男が、こっちに近づいてくる……。

いや、誰か助けてっ!

でも、5人いた男たちを、伊吹さんはものの数分でやっつけてしまった。

「おい、おまえら。誰の指示でこんなことを?」

「あ?それは言えねえな……って、いてて痛えって!分かった、言うよ!あの方は、『櫻庭伊吹』って名乗ってたぜ!」

え?今、なんて言ったの?

さくらば、いぶき……。それって。
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