たとえこれが、何かの罠だったとしても。
伊吹さんの顔を見ると、悔しそうな、悲しそうな、なんとも言えない表情を浮かべている。

なんで、櫻庭伊吹って、どういうこと?

私の頭の中は、もうグチャグチャだ……。

「偶然だな。俺と同じ名前なんて」

「そ、そうですね!」

偶然、なのかな……。

そんなに多い名字でも、名前でもない。

でも、まさか伊吹さんが私を狙うわけないし、うん、伊吹さんは関係ない!

「おい、なんでおまえと名前が一緒なんだよ!まさか、最初からそのつもりで楓に近づいたのか?」

「んなわけねえだろ!そんなわけ……っ!」
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