たとえこれが、何かの罠だったとしても。
この車を運転しているのは、西園寺家お抱えのドライバー、佐野さんだ。

車をほとんど揺らすことない敏腕ドライバー。

そして、かなりのイケメンでもある。

「櫻庭さん、楓を守ってくれてありがとう。楓の執事を櫻庭さんにして正解だった」

「いえ、そんな……」

「さすが、空手の黒帯だね」

空手の黒帯!?

確か、初段以上の人しか付けることができない、あの黒帯!?

だから、あんなに強かったんだ……。

でも、まずは『あの方』についてだ。

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