たとえこれが、何かの罠だったとしても。

6.お兄ちゃんとの思い出

あの日は、私の誕生日だった。

お父さんとお母さんは会社の仕事があって、お兄ちゃんが近くの水族館に連れて行ってくれることに。

「俺が楓を責任もって守るから大丈夫。心配しないで」

「かえで、おにいちゃんとおでかけする〜!」

「でも、やっぱり心配だわ。ボディーガードも連れていったらどうなの?」

「俺も杏の意見に賛成だ」

お父さんもお母さんも、私とお兄ちゃんが2人だけで出てかけることを心配していた。

私とお兄ちゃんは、一応世界でも有名な西園寺グループの子息。

しかもお兄ちゃんは、次期社長になる予定だった。

「大丈夫、大丈夫。俺が守るって!」
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