たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「おにいちゃんはむてき!」

「わかったわ。気をつけるのよ」

「でも心配だな…」

最終的に、お母さんはしぶしぶ了承してくれた。

お父さんは、納得していない様子だったけれど。

「楓、今日はお兄ちゃんと二人でごめんな。みんな一緒が良かっただろ?」

困った顔で私に謝るお兄ちゃん。

「かえで、おにいちゃんだいすき!」

「俺も大好きだぞー!そこらへんの男には譲らねぇ…」

今思えば、お兄ちゃんは少しシスコンだった。

あの頃は、全然気づかなかったけどね。

私は、お兄ちゃんと二人でも、嬉しかった。

いつもお出掛けできないから、楽しみにしていたんだ。
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