たとえこれが、何かの罠だったとしても。
お兄ちゃんが助けてくれた。

怖くて座り込んでいたら、

「はい、プレゼント」

私が欲しかったぬいぐるみをくれたお兄ちゃん。

嬉しくて、お兄ちゃんに抱きついていた。

涙も自然と止まっていた。

そして、帰り道に悲劇は起こったー。

ぬいぐるみを抱えていた私は、前から来た車に気づいていなかった。

でも、確かにあのとき信号は『青』だった。

車に轢かれそうになった私を、お兄ちゃんは庇った。

目の前でお兄ちゃんが血まみれで倒れていて……。

その光景は、まだ5歳だった私には衝撃的だった。

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