たとえこれが、何かの罠だったとしても。
泣き叫ぶことしかできなかった。

私は無傷だったけど、お兄ちゃんは即死。

私に残ったのは、あのぬいぐるみだけ。

そのぬいぐるみを見るのも辛くて、あの日以来しまい込んでしまった。

お父さんもお母さんも、私に何も言わなかった。

黙ってぎゅっと、抱きしめてくれた。

お兄ちゃんにもう二度と会えないことが分かって…。

辛くて、苦しくて、悲しくて。

あの日から、私の世界は狂い始めた。

お母さんは、お兄ちゃんの事故のショックから体調を崩し病死。

もう、何がなんだか分からなかった。

私の心には、ぽっかりと大きな穴が空いてしまったー。
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