たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「それから、周りの大人に『人殺し』、『疫病神』、『死に損ない』って言われ続けて…。辛かった。もう死にたいと願うほどに…。でも、死にたいと願えば願うほど、お兄ちゃんの声がしたんです。負けるな、頑張れって。その声があったから、私は頑張ることができたと思います」
「……」
「私が、お兄ちゃんを殺したんです!あの日、私が我儘を言わなければ、ボディーガードを付けて出かけていれば…。今も、お兄ちゃんは生きていたはずなのに!それだけでも、心は限界だったのに、後を追うようにお母さんも亡くなって…。もう、悔やんでも悔やみ切れなかった!私が死ねば良かったのに……」
涙で、何も見えなくなったその時。
「ふざけんな…。楓のお兄さんは、楓を守りたくて助けたんだ。それを楓が『死ねば良かったって』。楓に生きていて欲しくて庇ったのに、『私が死ねば良かった』ってあんまりだろ!お兄さんの気持ちはどうなる!?」
涙が、一瞬で止まった。