たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「お待たせしました、真さん」

「いえいえ、とんでもない!どうぞお掛けになってください」

中年の小太りな男がやって来て、俺たちの目の前に座った。

嫌に笑みを浮かべていて、不信感を覚える。

「ところで、この代物は……」

「ああ、うちの家族が実験台です」

部屋の空気が凍りついた。

実験、台……?

さすがに母さんも、顔色を変え始めた。

「あなた、ごめんなさい。ちょっと気分悪くて……。今日は失礼しますね」

俺たち3人は、会社から逃げるように家へと帰った。
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