たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「私なんて、そんな大したことないですよ」

そう言って、ニコッと微笑んだ伊吹さん。

もう、その顔を見るだけで心臓が止まりそうだ……。

「そうだ!今日から放課後、私の家で勉強しない?」

赤くなった顔を誤魔化すように話を逸らす。

「勉強?」

私の提案に、櫂は嫌そうに顔を歪める。

そのあまりの嫌がりように、思わず苦笑する。

「嫌ならいいけど、私で良ければ勉強教えるよ?」

「櫂は教えて貰わないとヤバいでしょ」

「休憩時間には、ショートケーキもご馳走するよ!」

櫂のやる気を高めるために、ケーキをチラつかせる。

「よし、乗った!!」

良かった。ケーキで我慢してくれるみたい。


< 76 / 220 >

この作品をシェア

pagetop