たとえこれが、何かの罠だったとしても。
小声でよく聞こえなかったけど、伊吹さんは一人で何かを考え込んでいる。

「面白いやつ」

あ、笑った。

―ドキンッ

何これ、胸が痛いほどドキドキする…。

イケメンの笑顔は、心臓に悪いな。

「楓、あらためてこれからよろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

お互いに、再度挨拶を交わした。

「それにしても、楓は起きるのが早いな。いつもこの時間に起きてるのか?」

「いえ、いつもはもう少し遅いです。ただ、今日は早く目が覚めたので…」
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