たとえこれが、何かの罠だったとしても。
話をしているとあっという間に家に到着。

部屋に戻り、さっそく勉強を始める。

「俺、数学全然分かってない。ヤバい」

「じゃあ数学から始めようか」

その問題を見ると、理解しているところだったのでホッとする。

棚から教科書を持ってきて、机に広げる。

「ここを見てから解くと分かりやすくて、この式はまず平方完成させる。そして、次にここの式に代入して場合分け。…そうそう、それであってるよ!」

「楓の教え方、本当に分かりやすい。ありがとう」

「ほんと?良かった!」

そう言ってもらえると、力になれたみたいで嬉しい。

「伊吹さんは何を勉強してるんですか?」

さっきから、横で黙々とシャーペンを動かしている。

見ているテキストはとても分厚く、難しそうだ。

「経済学のまとめだよ。卒論を書いてるんだ」

「そうなんですね…。経済学って難しいですよね」

「ああ、難しいよな。でも、学べることがたくさんあるし、新しい発見もあって面白いんだよ」

< 81 / 220 >

この作品をシェア

pagetop