たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「あれ、なんか楓、顔赤くない?」

「あ、赤くなんかなってないよ!」

「ほんとに〜?」

鋼が、少し口角を上げて笑っている。

もう、意地悪。私をからかっているんだ…。

「鋼、酷いよ!」

「ごめん、ごめん」

少しも反省していない様子の鋼。

「もう…」

「おい、ちゃんと勉強しろよ、勉強」

伊吹さんが、イラついた口調で指摘する。

うるさくしちゃったかな、静かにしなきゃ。

「伊吹さん、そんな見え透いた嫉妬はやめてくださいよ」

「は?」

「勉強の邪魔になるので、私語は慎んでください」

「おまえがあんなことするからだろ!」

「あんなことってなんですか?」
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