たとえこれが、何かの罠だったとしても。
笑われ、貶され、虐げられて…。

あんな思い、誰にもして欲しくない!

「頑張れー!あと少し!」

まだ三位だ。チャンスはある!

澤田にバトンが渡り、一気に追い上げる。

1人追い越し、現在赤団は二位だ。

澤田からバトンを受け取り、必死に走る。

一位と並び、3年男子にバトンタッチだ。

「あとは任せろ!」

そして、二位と差をつけアンカーへ。

「1着、赤団!見事なチームワークで逆転勝利です!」

「よっしゃ!」

「怪我は大丈夫?」

「は、はい!ありがとうございます!あの、さっきはありがとうございました!」

「気にしないで。私、ああいう人たちが嫌いなだけ」

人のことを陥れて、平気な顔をして。

相手がどんな思いをするのか想像もせず、平気で人を傷つけるような大人には、絶対になりたくないから。

「ほんと、可愛い上にカッコイイわね」

声をかけてきたのは、アンカーの3年女子の先輩だ。

「私、大原真紀。よろしくね」

「大原先輩!こちらこそです」

「嫌ね、真紀って呼んで?」

「はい!真紀先輩!」

みなで別れを惜しみつつ解散した。
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