元令嬢は俺様御曹司に牙を剥く 〜最悪な運命の相手に執着されていたようです〜
◇
久恩山家にお世話になっていた頃、飛鳥と食料庫で最悪の出会いを果たした後。
私は何度か、飛鳥と食料庫で出くわしていた。私は毎回水をもらいに、飛鳥はチョコレートをくすねに来ていた。
「なんでお前、わざわざこんな夜中に来んの? 俺に会いたいの?」
「そんなわけないでしょ」
飛鳥はいつも、地べたに座り壁にもたれてチョコレートを貪っていた。
「誰にも会いたくないの。ここの人はみんな私を腫れ物扱いするから」
言いながらいつものように目当てのペットボトルを手に取り、食料庫を出ようとした。
「俺はいいんだ?」
ドアノブに手をかけた私に、飛鳥が言った。
「だってアンタは、私を腫れ物扱いしないから」
言いながら、顔を伏せた。こちらをじっと見られている気がしたのだ。白目が赤く充血し、目元が腫れ上がっているところなんて、見られたくない。
「そのくせ、部屋では泣いてんだな」
しまった、見られていた。コイツには、知られたくなかったのに。
もう、ムカつく!
「ほっといてよ」
「泣けばいいじゃん」
声が被ってしまった。「え?」と、飛鳥の方を向く。ニヤニヤしてると思ったのに、飛鳥は無関心そうにどこかを見つめ、チョコレートを食べていた。
久恩山家にお世話になっていた頃、飛鳥と食料庫で最悪の出会いを果たした後。
私は何度か、飛鳥と食料庫で出くわしていた。私は毎回水をもらいに、飛鳥はチョコレートをくすねに来ていた。
「なんでお前、わざわざこんな夜中に来んの? 俺に会いたいの?」
「そんなわけないでしょ」
飛鳥はいつも、地べたに座り壁にもたれてチョコレートを貪っていた。
「誰にも会いたくないの。ここの人はみんな私を腫れ物扱いするから」
言いながらいつものように目当てのペットボトルを手に取り、食料庫を出ようとした。
「俺はいいんだ?」
ドアノブに手をかけた私に、飛鳥が言った。
「だってアンタは、私を腫れ物扱いしないから」
言いながら、顔を伏せた。こちらをじっと見られている気がしたのだ。白目が赤く充血し、目元が腫れ上がっているところなんて、見られたくない。
「そのくせ、部屋では泣いてんだな」
しまった、見られていた。コイツには、知られたくなかったのに。
もう、ムカつく!
「ほっといてよ」
「泣けばいいじゃん」
声が被ってしまった。「え?」と、飛鳥の方を向く。ニヤニヤしてると思ったのに、飛鳥は無関心そうにどこかを見つめ、チョコレートを食べていた。