元令嬢は俺様御曹司に牙を剥く 〜最悪な運命の相手に執着されていたようです〜
婚約者と元婚約者
「そのドレスも、似合ってる」
冬梧くんはドレスに視線を落とし、すぐにこちらに優しい笑みを向ける。
「飛鳥が選んでくれたの」
「そっか。愛されてるんだな」
冬梧くんがちらりと私の左手に目をやる。さくらの形のダイヤモンドが、きらきらと輝いている。
「うん、そうみたい」
言うと、冬梧くんの笑みがちょっとだけ陰った気がした。
「お酒、飲んでる?」
「ううん、私は……」
突然聞かれ、答えようとしたのだが、冬梧くんは手にしていたワインを掲げた。
「じゃあ、ぜひこれ。我が社の今期から輸入を始めた、フランス産赤ワイン。ここのワイナリー、他の国にワイン卸してなくて、フランス国内でも幻のワインって呼ばれてるんだ。俺が口説き落として、ようやくうちと契約してくれて」
「へえ」
冬梧くんは剣崎酒造株式会社の御曹司だ。きっと、今も社長の右腕として活躍しているのだろう。そう思っていると、「あ、俺ね、今ワイン輸入部門の部門長なんだ」と冬梧くんは付け足した。
それから彼は、近くにいたウェイターに目くばせをする。ウェイターは私の手から空になったお皿を取り去り、代わりに空のワイングラスを手渡してくれた。
けれど、私はお酒はからっきしダメだ。婚約を破棄した時はまだ高校生だったから、冬梧くんはそのことも知らないのだろう。
冬梧くんが直接、ワインをグラスに注いでくれる。どうやって切り抜けようか考えていると、不意に隣に影が落ちた。
冬梧くんはドレスに視線を落とし、すぐにこちらに優しい笑みを向ける。
「飛鳥が選んでくれたの」
「そっか。愛されてるんだな」
冬梧くんがちらりと私の左手に目をやる。さくらの形のダイヤモンドが、きらきらと輝いている。
「うん、そうみたい」
言うと、冬梧くんの笑みがちょっとだけ陰った気がした。
「お酒、飲んでる?」
「ううん、私は……」
突然聞かれ、答えようとしたのだが、冬梧くんは手にしていたワインを掲げた。
「じゃあ、ぜひこれ。我が社の今期から輸入を始めた、フランス産赤ワイン。ここのワイナリー、他の国にワイン卸してなくて、フランス国内でも幻のワインって呼ばれてるんだ。俺が口説き落として、ようやくうちと契約してくれて」
「へえ」
冬梧くんは剣崎酒造株式会社の御曹司だ。きっと、今も社長の右腕として活躍しているのだろう。そう思っていると、「あ、俺ね、今ワイン輸入部門の部門長なんだ」と冬梧くんは付け足した。
それから彼は、近くにいたウェイターに目くばせをする。ウェイターは私の手から空になったお皿を取り去り、代わりに空のワイングラスを手渡してくれた。
けれど、私はお酒はからっきしダメだ。婚約を破棄した時はまだ高校生だったから、冬梧くんはそのことも知らないのだろう。
冬梧くんが直接、ワインをグラスに注いでくれる。どうやって切り抜けようか考えていると、不意に隣に影が落ちた。