元令嬢は俺様御曹司に牙を剥く 〜最悪な運命の相手に執着されていたようです〜

Epilogue

 帰宅後、シャワーを浴びてリビングに戻ると、飛鳥はソファに座り、難しい顔でタブレット端末の画面を覗いていた。

「仕事?」

 聞けば、飛鳥の肩がピクリと揺れる。徐ろに振り向いた飛鳥は、私を見るとため息をこぼした。

「この間も思ったんだけど、その格好何なんだよ」

 飛鳥はあからさまに不機嫌そうだ。以前、冷えを心配されたことを思い出した。

「ごめん。今度買う時は、ロング丈にする」
「そういうことじゃねぇ」

 飛鳥はもう一度ため息をこぼすと立ち上がり、こちらに歩み寄る。

「伝わんなさそうだから単刀直入に聞く。誘ってんの?」

 飛鳥に顔を覗き込まれ、真っ赤になってしまった。けれど、もう寂しい思いはしたくない。

「そ、そうだよ! 悪い?」 
「んだよ、我慢しなくて良かったんじゃね―か」

 言いながら、飛鳥は私をひょいっと持ち上げる。

「我慢してたの?」
「してたよ。十年前から好きな女が突然かわいいパジャマ姿で目の前に現れたら誰だって我慢すんだろ」

 飛鳥は喋りながらも私を自身の寝室へ運ぶ。そのままベッドに降ろされるとすぐに押し倒された。
< 51 / 53 >

この作品をシェア

pagetop