総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
「目、覚めた?」

男の人の低くて圧のある声。

「突然拉致っちゃってごめんね。びっくりしたよね」

「んーっ…っ、んっ、」

これ解いてよ…!!

おうち帰る…!!!

何度も身体を浮かせて、訴えるけどろくに言葉にならないせいでそんな私の要望は上手く届いてくれない。

「響さんの大切なもんって……、多分今まほちゃんだよね。近くで見てたらようやく分かったよ」

ストン、と私の傍に来ると、抑揚のない声で淡々と語り出した。

それがさらに私の中の恐怖を掻き立てていく。

「僕ね。ずっと復讐したかったんだ」

耳元で小さく囁かれ、吐息が耳たぶを撫でた。

身体がビクッ、と跳ねる。

復讐…??

一体なんの話をしてるの…??

お兄ちゃんの名前も…私の名前も…、なんで知ってるの…??

「特別に教えてあげるね」

そう言われると、今度は頬を這うように撫でられた。

「んっ…っ」

「僕ね。一応狂乱火っていう暴走族の総長なんだよ」

はっ…

狂乱火…

聞き覚えがあった。

数ヶ月前にお兄ちゃんの後を着いて勝手に倉庫に行った時​───────…

ーーおい、お前。狂乱火の人間か?

お兄ちゃんの仲間に取り押さえられた私に、確かそうやって聞いてきた…。
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