総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
まるで狂乱火の人間を恐れているような、そんなピリついた空気だったこと思い出す。

よく分からない、けど…

この人は…お兄ちゃんの敵ってこと…??

「僕ちっさい頃から欲しいものはなんでも買って貰えてさ」

視覚は閉ざされているから、顔は見えない。

でも……

あれ…………

この声…どっかで聞いたことある気が……

そこで、声の主に気付いてしまった私は後ろ手に縛られた手にギュッ、と力を込めた。

モクモクと煙のように込み上げてくるのは‪”‬なんで?‪”‬という大きな疑問。

お兄ちゃんを尊敬してる…優しい人だ、って思ってたのに…。

以前会った時とは別人のよう。

「ある時僕はこの街のトップが欲しい、と思ったんだ。だから狂乱火を立ち上げた。でも”‬Tired Bear‪”‬?とかいうふざけた名前の暴走族にすぐ潰されちゃった」

…悔しい。

何も言い返せないことが悔しくて仕方ない。

ふざけた名前なんかじゃないのに。

狂乱火なんて怖い名前の方がよっぽど……

「欲しいものが手に入れられなかったことは生まれてはじめてだよ。あんなにプライドを傷付けられたことは、未だかつてない」

「んーっ、んっ」

「なんか言いたそうだね。いいよ。最後に聞いてあげる」
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