総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
小さく振ることしか出来ないけど、彼は「そっか」と言って乾いた笑みをこぼした。

「今、まほちゃんの頭に付けたこれはね。記憶が無くなる装置なんだ」

その時。

ピッ……

頭に取り付けられたものから短く淡白な機械音が発せられた。

「…っ」

喉の奥がヒュッ、と動く。

記憶が…………無くなる……??

背筋が凍るような事実に、私の頭は一気にここから出なきゃ!と騒ぎ立てた。

「んーーーーっ!!んっ!!んー!」

お兄ちゃん…お兄ちゃん……っっ!!!

ここに来てようやく事の重大さが分かった気がした。

お兄ちゃん……!お兄ちゃん…っ

たすけて……っ!

このままここに居たら私……っ

怖くて怖くてたまらなくてついに目隠しの裏で涙が溢れ出る。

「こら。暴れないの」

「んっ……ぐすんっ…、…っ」

「響さんは……大切なもの奪われたらどんな顔するのかな」

やだ…っ

忘れたくない…っ

お兄ちゃん…!

何度も心の中でお兄ちゃんに助けを求める。

しばらくずっと冷たいコンクリートに寝かせられていたからか、無性にお兄ちゃんの温もりに触れたくなって、それがさらに涙を加速させる。
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