総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
「ぐすんっ……っ、ぐすんっ…」

「そんな泣かなくても大丈夫だよ。忘れてもちゃんと僕が1からしつけてあげるから」

やだ…ぁ、、お兄ちゃんがいい…っ!

ーーなぁ、まほ。俺が帰ってくるまでいい子で待ってたらさ

ーー結婚式ごっこやろうぜ

どうしよう…っ

ーーほんと!? やる!やりたい!

お兄ちゃん……っ

ーーん。約束な

ーーうんっ!!

お兄ちゃん……!!!

お兄ちゃん助け​───────…

次の瞬間。

鈍器で思いっきり殴られたようなひどい衝撃が頭に走って、私は意識を手放した。











「っ…」

目を開けると、灰色の天井が広がっていて横から男の人が顔を出した。

「おはよう」

陶器みたいな白くて綺麗な肌に、おっとりとした印象を残すタレ目の男の子。

口元にふんわり、と弧を描きながら横たわる私を見下ろしていた。

「ん…、あれ……私…」

ソファに寝かせられてたみたいで、ゆっくりと上半身を起こす。

ふいに部屋の中を見渡すと、ふかふかそうなベッドが1つ目に入る。

さらに視線を動かすと鉄格子で覆われた小さな窓が見えた。

そこからは明るい外の日差しが差し込んでいて、味気ない床をキラキラと照らしている。

「自分の名前、言える?」

そう尋ねられて、私は静かに記憶を辿った。

起きたばかりのまだボー、とする頭を必死に巡らす。

「な、まえ…」

……分からない。

自分がどこの誰で、何歳なのか、とか。

自分に関する手がかりが1つもなかった。

全部……

まっさら…
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