総長様は可愛い義妹に永遠の愛を捧ぐ
「分かんない……」
見えない不安に目を背けるように少しだけ目を伏せて答えた。
「そっか」
だけど彼はそんな私を優しく包み込むように抱き寄せた。
まるで私が壊れ物かのように慎重に頭の後ろを撫でてくれる。
さっきまで何も分からない自分自身にどうしようもなく大きな不安があったのに。
不思議と今は、大丈夫な気がした。
彼のポカポカとする温もりが、こんなにも安心する……。
彼の肩に顔を埋めた。
「あの…、わたし……、だれですか…」
遠慮がちに尋ねると、彼は私から身を離した。
「君の名前はね…」
彼の目はどこかうるうるとしていた。
溢れんばかりの涙をその瞳の表面に膜を貼ったように浮かばせながら真っ直ぐと私の目を見つめる。
彼の瞳から1粒の涙が零れた時。
私の名前は、言い放たれた。
「─────────…”沙奈”だよ」
まだ聞き馴染みのないその名前を自分に言い聞かせるようにポツリと口に出す。
「さな…」
「そう。沙奈」
私の声を受け止めるように、彼は陽だまりのような笑顔を浮かべて頷いてくれた。
「もう大丈夫だよ。“また”一緒に生きてこうね」
そう言って、彼はもう1度私を抱き寄せたのだった。
見えない不安に目を背けるように少しだけ目を伏せて答えた。
「そっか」
だけど彼はそんな私を優しく包み込むように抱き寄せた。
まるで私が壊れ物かのように慎重に頭の後ろを撫でてくれる。
さっきまで何も分からない自分自身にどうしようもなく大きな不安があったのに。
不思議と今は、大丈夫な気がした。
彼のポカポカとする温もりが、こんなにも安心する……。
彼の肩に顔を埋めた。
「あの…、わたし……、だれですか…」
遠慮がちに尋ねると、彼は私から身を離した。
「君の名前はね…」
彼の目はどこかうるうるとしていた。
溢れんばかりの涙をその瞳の表面に膜を貼ったように浮かばせながら真っ直ぐと私の目を見つめる。
彼の瞳から1粒の涙が零れた時。
私の名前は、言い放たれた。
「─────────…”沙奈”だよ」
まだ聞き馴染みのないその名前を自分に言い聞かせるようにポツリと口に出す。
「さな…」
「そう。沙奈」
私の声を受け止めるように、彼は陽だまりのような笑顔を浮かべて頷いてくれた。
「もう大丈夫だよ。“また”一緒に生きてこうね」
そう言って、彼はもう1度私を抱き寄せたのだった。