総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
「はは、元気だね。ただいま、沙奈」

そのまま私の身体は宙に浮いて、あっという間に久音くんの腕の中。

​────3ヶ月前、私は記憶喪失になった。

久音くん曰く、私は階段から転落して頭を強く打ってしまったらしいけど…、私ってそそっかしいのかな??

最初は知らない自分に不安ばっかりだったけど、久音くんはそんな私に1から色々教えてくれた。

久音くんは私のお兄ちゃん。

狂乱火っていう暴走族の総長をしているらしい。

きっと喧嘩も強いんだろうなと思うけどなんか想像付かないや。

だって久音くんはいつも優しくてニコニコしてる。

とても人を殴ったりしてるとは思えなかった。

久音くんは朝9時に家を出ていって、いつも大体夕方の4時くらいに帰ってくる。

その間私はお留守番。

家でテレビを見たり、ゴロゴロしたり、とにかくまったりしているのが日課だ。

学校には通っていない。というか外には1歩も出ていない。

私は生まれつき身体が悪くて、外へはあまり出ちゃいけない。

久音くんはそう教えてくれた。

だから私は外の世界をあまり知らない。

私が唯一外と繋がっているのは、家に1つだけある小さな窓。

そこからは遠くの方にビルが見えるくらいであとは、空や木が広がっている。

家の外観は見たことないけど、きっとどこかの平屋に住んでるんだと思う。
< 107 / 182 >

この作品をシェア

pagetop