総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
その間にもクリスマスやお正月なんかのイベントがあって。テレビで見る街の様子はとても楽しそうだった。

キラキラのイルミネーションや、大晦日に神社で出店される屋台。それらに足を運ぶ人達の様子を取り上げたニュースをいいな、と思いながらよく見ていた。

記憶は相変わらず戻らないままだったけど久音くんとの日々は楽しくて、何不自由なかった。

***

「わーっ、綺麗っ」

夜空を駆け巡る光の集合体。

この日。

街で花火大会が行われていたみたいで、家の窓に張り付いていた。

窓は鉄格子になってるから、少しだけ鉄が邪魔だけどしょうがない。

何度も打ち上がるキラキラに目を奪われて、のめり込んでいく。

「青色のやつ可愛いなー」

パン!と上の方で弾けて。

しゅわわわー、と散っていく。

久音くん、早く来ないと終わっちゃうよー…

さっきからあっちの部屋で誰かと電話している久音くん。

仕事の電話だと思うけど…

一緒に見よー、って約束してたのにー。

軽く拗ねそうになる気持ちを抑えて、大人しく1人で鑑賞する。

いつもただ真っ暗な夜空があるだけなのに、今日はいっぱいキラキラしてて、なんだか新鮮。

夜空でパン!と弾ける度に心臓にその振動が伝わってくる。

明日も明後日もいつでもこの綺麗な花火思い出せるようにいっぱい見とかなきゃ。

ーー来年も、お兄ちゃんと見たい。
< 110 / 182 >

この作品をシェア

pagetop