総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
#7 記憶の行方
【まほside】

「……もう…いい」

その時。

久音くんの右手に何かが握られていることに気づいた。

キラリ、と光るそれは……

​───────…ナイフだった。

なに……しようとしてるの…

「沙奈は渡さない…」

覚束無い足取りで立ち上がって、悪者さんの方に走っていく久音くん。

「もう誰にも沙奈は渡さない……っ!!!」

「まって!久音くん!!!お願い!!やめて……!!!」

悪者さんに向け、一直線にナイフを振り上げる久音くん。

咄嗟に…身体が動いていた。









グサッ…………………………………………








「うっ……っ」

直後。

お腹にナイフが刺さって、激痛が走る。

「は…………? 沙奈…なんで……」

「カハッ……っ、うぅ…」

口の中が血の味でいっぱいになる。

ナイフがお腹……に…

理解するのにそう時間は掛からなかった。

目眩がして、ぐらり、と視界が歪む。

貧血のようにフラっ、と倒れそうになるけど、すぐに後ろから両肩を支えられた。

「まほ…っっ!!」

悪者さんが大きく叫ぶ。

……また、間違えてる…

私まほちゃんじゃないのに…

訂正しようとしたけど、

だめだ……

頭が上手く回らない…
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