総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ

***

「……ほ、まほ、まほ…っ!!」

「…っ」

気が付くと、私は病院のベッドの上にいた。

「分かるか!?」

真っ白な天井ばかりが視界を埋める中、悪者さんが身を乗り出して私を見下ろしている。

頬にポタポタと冷たい雫が落ちてきて、ギュッ、と目をつぶると悪者さんは焦ったように自分の目元を抑えた。

「あっ、わり…」

泣いてる……

私の、せいかな。

あれ? 私なんでこんなとこに……

あ、そうだ。

お腹……刺されちゃって…

それを思い出したのとほぼ同時。

ーーお前なんか沙奈じゃない……!!!!

ぼんやりする頭に容赦なく、あの時の記憶がフラッシュバックしてきた。

鋭く過ぎった記憶は全て胸がチクチクするもので、せき止めるものなど何も無く一気に涙が零れた。

涙が目尻を滑って枕の上に吸収されていく。

「ふぇっ…」

一瞬でへにょ。と口角が下がってふにゃふにゃな声が漏れる。

「ふぇー…っ、うぅっ……」

嫌われちゃったっ。

久音くんに嫌われちゃったっ。

消えろ、って言われちゃったっ。

そんな酷い言葉、言われたことなかった。

まだ信じられなくて夢なんじゃないかって考えるけど、それは夢にしてはあまりにリアルで。

あの時感じた胸の痛みもまだしっかり残ってて……だから…夢じゃない、んだろうな。

仰向けで無防備に泣く姿を見られたくなくて両手で顔を覆った。
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