総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
2階は俺の部屋とまほの部屋と、親父の部屋。

あと物置があるくらいだ。

「まほ!まほ……っ!!」

何度も繰り返し呼ぶけど返事は返って来ない。

頼む……っ、いてくれよ…

手前から順番に扉を開け、中を覗いた。

でもどの部屋にもいなくて、残すは親父の部屋だけになった。

「…っ」

ドキリ、とした。

親父の部屋のドアが軽く開いていたのだ。

元々開いていたのかもしれない、と思いつつも少しだけ安心する自分がいた。

すっかり上がってしまった呼吸を整えてから、引き寄せられるみたいにドアの隙間から中を覗いた。

「まほ……あ、じゃなかった。沙奈ちゃん。こんなとこに…」

緊張が解けていく。

親父の部屋の窓際。

そこにまほが立っていた。

まほは俺が来たことなんて気付いてないみたいに窓の外をじー、と眺めている。

「どうした?」

後ろから尋ねると、まほが小さくポツリ、と言った。

「なんか…ここ。懐かしい気がする…」

「え…?」

隣に並んで俺も窓の外を眺めた。

夕焼けが広がってるだけで、あとは隣の家の屋根が若干見える程度。

そこに格別懐かしさなんて感じられな​────

「…っ」

蘇る懐かしい記憶に、

あ。と気付く。

ここは……






まほと花火を見た場所だ。
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