総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
#8 総長様は可愛い義妹に永遠の愛を捧ぐ
【まほside】

「まほ……おい、朝だぞ。起きろー」

「んんっ……やっ」

身をよじったら足先が布団からはみ出て、冷たい空気から逃げるようにまた布団に足を滑らせた。

そしてお兄ちゃんの足にピト、と引っつける。

「うわ、冷て」

「……」

んー……暖かい。

しあわせー。

と思ったのも束の間。

「んむっ」

両頬を掴まれたことで目が覚めた。

「早く起きろ」

「んー…やだっ」

「……」

「あー!布団取った!?寒い!」

無言で布団を引っ張られ全身が寒気に覆われた。

ブルル!と身震いして小さく丸まるけどすぐにひょいっと抱き上げられた。

「ほら。行くぞ」

1晩くるまった布団ほどじゃないけど、またお兄ちゃんの体温に包まれて、1階に降りる。

ーー記憶が戻ってはや1ヶ月。

ずっと、‪”‬お兄ちゃん‪”‬だと思っていた久音くんは、私から記憶を奪った人だったことを理解した。

それ以外にも、全てのことを思い出した。

最初はいろんな記憶や想いが混濁してたけどだんだんと頭に馴染んでいっているような感覚だった。

自分でも不思議な感覚でとっちらかってるものをゆっくり整理していっているようなものに近い気がする。
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