総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
「…っ?」

「…怒って悪かった」

なんか…

そうだよな。

ちょっと器ちっさかったかもな、俺…

しばらく驚いたように目をぱちくりさせていた女だったが、やがて大きく頷いた。

「うんっ!仲直り嬉しいっ」

一瞬で表情を変え、無邪気に。

目も当てていられないほどの眩しい笑顔を向けてきやがった。

「私も、嫌いって思ってごめんねっ」

「…ふっ」

そんなこと思ってたのかよ、と思ったらなんだか笑えてきた。

思っただけなら黙っときゃいいのに。

……律儀な奴。

「…なんだよ」

吹き出した俺をまるで世界遺産でも見たかのように見てきやがったので、そっぽを向きながら尋ねる。

すると

「笑った顔…、初めて見た…っ」

そう言って、瞳をキュッ…と狭めた。

「あっそ…」

なんか急にむず痒くなって、冷たく返す。

「プリン…」

「?」

嫌味、とかじゃなくて単純な興味で聞いてみる。

「プリン。…美味しかったか」

すると布団からガバッ、と起き上がってニコニコしだした。

「うんっ!すっごく美味しかった!口に入れたらぶわーっ!って甘いのが広がって……っ」

そうして、下手な芸人よりもよっぽど分かりやすい食レポをした。

さぞかし美味しかったんだろうな、ということがこれでもかと伝わってくる。

「でっ、キャラメルも苦さがちょうどよくて〜…」

カラメルだろ……

ほっといたらいつまでも語ってきそうだったので、「もういいよ」と言うと、ピタリと止まった。

でも少し間を空けた末、しんみりとした言葉が落ちてきた。
< 21 / 182 >

この作品をシェア

pagetop