総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
一気に彼の眉間に皺がよったので慌てて口をつぐんだ。

全身がヒヤッ、と強ばる。

「だから今言ったろ?」

響くんの舌打ちと大きなため息がリビングに広がっていく。

あれ…

もしかして嫌がられてる…?

「おい、響。まほちゃん響よりも年下なんだからもっと優しく​────」

「部屋行く」

「あっ、おい…っ」

響くんがスマホ片手に立ち上がる。

その拍子に彼の膝辺りから白い何かがボト…と落下したのが見えた。

‪”‬ あ っ 、 こ れ 落 ち た よ ! ‪”‬

拾い上げて、そう声をかけようとした時にはもう遅くて、響くんはリビングを出ていった後だった。

なんだろう。これ…。

咄嗟に拾ってしまった物体に視線を落とす。

まだ少しだけ温もりの残るそれは手のひらサイズのくまのぬいぐるみだった。

ふわふわの触り心地のいい白い生地に、クリクリツヤツヤなおめめがついてて、だらしなく舌べらがぴょこっと出ている。

胴体は自立してなくて、クタッと力なく私の腕に乗り掛かっていた。

何これ…っ

かわいい…っ!!

あっという間に私は響くんが落としていったくまのぬいぐるみのトリコに。

興味本位で、にぎにぎして触ってみると。

ぷー

音が鳴った。

ぷー

ぷー

ぷー

わぁ…っ、いっぱい鳴るっ!!
< 4 / 182 >

この作品をシェア

pagetop