総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
「んっ!」

なかなかしてくれないから、踵を上げて精一杯背伸びをする。

そしてお兄ちゃんの服の袖をグイ!と引っ張って催促した。

私たち大きくなったら結婚するんでしょ!

このくらいやっておかないと​────…

「いてっ」

次の瞬間、おでこにパチン!と痛みが走った。

どうやらデコピンされたらしい。

ゆっくり目を開けるとお兄ちゃんはそっぽを向いていた。

「気軽にそういうことするんじゃないよ。ったく」

ちょっと怒ったようにそう言われて、視線が絡むことがないまま、お兄ちゃんは私から離れて行こうとした。

きっ、気軽じゃないのに!!

過去の女をお兄ちゃんの記憶から早く消したいのに!!

「まってっ!」

逃がすまいと咄嗟にお兄ちゃんの手を引く。

「えっ…」

びっくりして、素っ頓狂な声が出てしまった。

だって…

「お兄ちゃん…、顔赤いよっ」

「うっ、うっせぇ!見るな!」

慌てた様子で手は振り払われてしまい、お兄ちゃんは2階に行ってしまった。

「…っ」

つられるように私の顔も赤くなっていく。

お兄ちゃんのあんな顔…、見たことないっ

もしかして、少しは照れたり…、してくれたのかな……
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