総長様は可愛い義妹に永遠の愛を捧ぐ
***
「え、海外?」
まほが風邪で寝込んでいる頃。
親父が仕事の都合でしばらく海外に出張に行くと聞かされた。
一応予定では戻ってくるのは3年後らしいが時々様子を見に日本に帰ってくるとのこと。
元々仕事柄出張は多かったけど、海外は初めてな気がする。
今までは俺が小さかったこともあってほどほどにセーブしていたらしい。
「あぁ、ちょっと仕事でトラブってな……。やっぱり2人ここに残しては、きついか?」
「いや、別にいいけど」
「もしあれだったら、家政婦とか雇うか?」
「いや、そんなんいいって。金も掛かるし」
「そうか?」
ダイニングテーブルで軽い缶酎ハイを飲みながら親父が言った。
「響、ありがとな」
「なんだよ、急に」
「いや。いきなり女の子と一緒に住むの、年頃の男子高校生にはキツかったんじゃないのかってさ」
どうやら同僚の人にそんなことを最近言われたらしかった。
まぁ、それはごもっともな意見だ。
「親父が勝手に引き取ってきたんだろ?俺の承諾もなしに」
「はは、それはごめんって。ほら。うち母親いないだろ? 男の2人暮らしも貧相じゃないか」
「なんだよ、それ」
今思えば、小さかった頃の俺は無茶なことばっかりほざいていた気がする。
一時期のことだが、やたら妹を欲しがったり、だとか。
母親は、死んでしまったっていうのに。
親父だってまだ、悲しみから立ち直れてなかったかもしれないってのに。
「え、海外?」
まほが風邪で寝込んでいる頃。
親父が仕事の都合でしばらく海外に出張に行くと聞かされた。
一応予定では戻ってくるのは3年後らしいが時々様子を見に日本に帰ってくるとのこと。
元々仕事柄出張は多かったけど、海外は初めてな気がする。
今までは俺が小さかったこともあってほどほどにセーブしていたらしい。
「あぁ、ちょっと仕事でトラブってな……。やっぱり2人ここに残しては、きついか?」
「いや、別にいいけど」
「もしあれだったら、家政婦とか雇うか?」
「いや、そんなんいいって。金も掛かるし」
「そうか?」
ダイニングテーブルで軽い缶酎ハイを飲みながら親父が言った。
「響、ありがとな」
「なんだよ、急に」
「いや。いきなり女の子と一緒に住むの、年頃の男子高校生にはキツかったんじゃないのかってさ」
どうやら同僚の人にそんなことを最近言われたらしかった。
まぁ、それはごもっともな意見だ。
「親父が勝手に引き取ってきたんだろ?俺の承諾もなしに」
「はは、それはごめんって。ほら。うち母親いないだろ? 男の2人暮らしも貧相じゃないか」
「なんだよ、それ」
今思えば、小さかった頃の俺は無茶なことばっかりほざいていた気がする。
一時期のことだが、やたら妹を欲しがったり、だとか。
母親は、死んでしまったっていうのに。
親父だってまだ、悲しみから立ち直れてなかったかもしれないってのに。