総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
#5 突然の別れ
【響side】

花火大会のあった日から2週間。

まほはすっかり元気になったし、中学も高校も夏休みに突入していた。

「まほ。俺ちょっと倉庫行ってくるから家で待ってろよ」

「えー…。一緒に行く」

「だめ」

倉庫なんて他の族に場所も知られてるだろうし、いつ抗争が起きるか分からない。危険な場所だ。

「えー…」

暴走族、とか抗争とかそんなこと多分1ミリも分っちゃいないまほは不満そうに唇を尖らせて俺に飛び乗りコアラのようにしがみついてきた。

「留守番してて」

「んーん」

優しく言ってやったのに全力で首を横に振っている。

まぁ、こっちだってまほが俺の言いつけをきちんと守るなんて思っちゃいない。

以前勝手に俺の後をついて行ってホイホイ倉庫に来てしまったことを思い出す。

以前家から出るなと言ったのに、出て、そこら辺の不良に絡まれた事例もある。

前科が山ほどあるのだ。

こいつは人の言いつけをことごとく破る。

「なぁ、まほ。俺が帰ってくるまでいい子で待ってたらさ」

「?」

「結婚式ごっこやろうぜ」

こんな小っ恥ずかしいセリフが自らから出たなんて衝撃だった。

果たしてこんな方法でいいのか。

と半信半疑みたいなところがあったが…、どうやら効いたらしい。
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