総長様は可愛い義妹に永遠の愛を​​捧ぐ
嫌な予感がして、急いで玄関に入る。

「…っ」

目に飛び込んで来た光景に目を見張った。

玄関からリビングに続く廊下。

いつもならそれなりに整頓されているはずなのに。

棚に飾ってあった花瓶も。

親父がどっかから買ってきたっていって壁に掛けていた絵も。

ありとあらゆるものが全部…、床に散乱していたのだ。

動揺のあまり手に持っていた紙袋を床に落とす。

「まほ…っ!?」

なんだこれ…

泥棒か…?

嫌な予感は加速する一方。

「まほ…!!いるか!?」

状況が全く掴めないまま、リビングに。

でもそこは廊下よりももっと酷く、部屋全体が荒らされていた。

「まほ!!おいっ、まほ!!いるのか!?」

前みたいに急に不安になってパニックになったんじゃないか、とか色々な可能性が脳裏によぎるけど、まずはまほが無事なのかだけ確認したかった。

でも……

「おい、まほ!!!どこだ……!? 返事しろ!!」

洗面所にも。ベランダにも。2階にも。

どこにもまほの姿は見当たらなかった。

「はっ…、そうだ。靴…っ」

玄関に靴がなければ、どこかに出かけたのかもしれない。

そう思い、階段を駆け降りた。
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