揺蕩ふままに
「べつに、強く在る必要なんてないんだよ。サト」



 だってそうでしょ?



「もしサトが強かったら、私たちは出会えてないんだから」




 社会に置いていかれて。ついていく強さを持っていなくて。



 自分の弱さに打ちひしがれたあの夜、私たちは出会ったのだから。




「……もう少し、私と生きてみようよ」



 知っている。……知っていた。

 彼は一度決めたことを、絶対に曲げたりしないって。








「ん、」




 泣きそうに微笑んだ彼の心臓は、まだ鼓動を続けていた。





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