彼女も機械化
技術の進歩ってすごいね
最近の世の中は、機械で溢れている。
誰もが乗っている車や公共交通機関である電車、空飛ぶ飛行機。
日常の中でも、もう手放せなくなっているスマホやパソコン、服を洗ってくれる洗濯機やゴミを吸い取る掃除機。
全世界で溢れかえっている、様々な機械の存在は、人に恩恵を与えると同時に依存させている。
というのも、今まさになっている人物が二人、機械に取り憑かれた両親がいるからこそ言えることだった。
「哲! 見よ! このアイポン21! 片手で操作できるだけでなく、大きさも自由自在! この日本という大国に生まれて……」
「何度も言うけど、三十万もかけて買うようなものじゃない……てか無駄遣い。日本に生まれて確かに良かったとは思うけど、たかがスマホのために生まれた覚えは俺にはない。それが本当だったら、逆にショックだよ」
「無駄遣いではない! 私達の世界に潤いを与えてくれる素晴らしい物だ!」
「ほどほどでいいよ。そして、ほどほどにしといてよ」
父は新しい機械好きで、高くてもついつい欲が暴走し、部屋を機械だらけにしてしまう。
良く言えばコレクターとも言えるだろうが、度が過ぎている。
今では海外で噂の脳内チップに手を出そうとしている危ないおっさんだ。
そんな父さんを好きになった母さんも、調理機器や掃除機、洗濯機、コーヒーメーカー、電子レンジ、全てが最新機器でキッチンが埋め尽くされている。
「お母さんね、つい便利なもの欲しくなっちゃうのよね〜」
これが母さんのいつもの口癖。
呆れて言葉も出ない俺は、だんだん機械という存在に苦手意識を覚えるようになった。
しかし、自分でも切っても切り離せない程に、この世界には必要なものと理解している。
家庭の問題は尽きないが、そんな両親の色に染まらなかったのは、今通っている高校のおかげだ。
テクノロジーの進歩による問題については、社会の授業でよく取り上げられている。
特にAI、人口知能を持つロボットにより、遠からず未来の俺達の就職率はかなり下がってしまうようだ。
仕事を機械に奪われる時代。
そんな日が本当に来るのだろうか。
と、普通の家庭で暮らしている人であれば思うのだろうが、自分の家庭を見ていれば絶対その日は来ると確信してしまう。
革新する前に確信したくなかったと、くだらないことを言いながら、朝のホームルームが始まる。
「はーい、皆おはよう。今日は転校生を紹介しまーす」
先生の合図と共に、扉が開かれる。
凛とした硬い表情は、アンドロイドを彷彿とさせ、瞬きが一切無いから本当に人間なのか疑ってしまう。
先生の指示により、名前が正面のホワイトボードに、達筆な字で書かれていく。
教科書のような綺麗な字は、皆から注目を集めている。
今では、スマホやパソコンが日常で使われているせいか、字が汚くなることが多いらしい。
しかし、彼女の字はあまりにも綺麗すぎた。
俺も反面教師な両親のようにはなるまいと、字を綺麗に書くのは意識している。
しかし、そんな俺でも、あんなお手本のような字を書ける自信はない。
「じゃあ、自己紹介からお願いね」
「……」
「えっと、どうしたの?」
「……」
ずっと一言も喋らず、黙ったまま俺達の方向をずっと見ている。
何を考えているのか、無論表情からは全然読み取れない。
スラっとした黒く長い髪、変化のない表情。
俺と同じ170センチくらいある、女性では珍しい高身長。
誰もが乗っている車や公共交通機関である電車、空飛ぶ飛行機。
日常の中でも、もう手放せなくなっているスマホやパソコン、服を洗ってくれる洗濯機やゴミを吸い取る掃除機。
全世界で溢れかえっている、様々な機械の存在は、人に恩恵を与えると同時に依存させている。
というのも、今まさになっている人物が二人、機械に取り憑かれた両親がいるからこそ言えることだった。
「哲! 見よ! このアイポン21! 片手で操作できるだけでなく、大きさも自由自在! この日本という大国に生まれて……」
「何度も言うけど、三十万もかけて買うようなものじゃない……てか無駄遣い。日本に生まれて確かに良かったとは思うけど、たかがスマホのために生まれた覚えは俺にはない。それが本当だったら、逆にショックだよ」
「無駄遣いではない! 私達の世界に潤いを与えてくれる素晴らしい物だ!」
「ほどほどでいいよ。そして、ほどほどにしといてよ」
父は新しい機械好きで、高くてもついつい欲が暴走し、部屋を機械だらけにしてしまう。
良く言えばコレクターとも言えるだろうが、度が過ぎている。
今では海外で噂の脳内チップに手を出そうとしている危ないおっさんだ。
そんな父さんを好きになった母さんも、調理機器や掃除機、洗濯機、コーヒーメーカー、電子レンジ、全てが最新機器でキッチンが埋め尽くされている。
「お母さんね、つい便利なもの欲しくなっちゃうのよね〜」
これが母さんのいつもの口癖。
呆れて言葉も出ない俺は、だんだん機械という存在に苦手意識を覚えるようになった。
しかし、自分でも切っても切り離せない程に、この世界には必要なものと理解している。
家庭の問題は尽きないが、そんな両親の色に染まらなかったのは、今通っている高校のおかげだ。
テクノロジーの進歩による問題については、社会の授業でよく取り上げられている。
特にAI、人口知能を持つロボットにより、遠からず未来の俺達の就職率はかなり下がってしまうようだ。
仕事を機械に奪われる時代。
そんな日が本当に来るのだろうか。
と、普通の家庭で暮らしている人であれば思うのだろうが、自分の家庭を見ていれば絶対その日は来ると確信してしまう。
革新する前に確信したくなかったと、くだらないことを言いながら、朝のホームルームが始まる。
「はーい、皆おはよう。今日は転校生を紹介しまーす」
先生の合図と共に、扉が開かれる。
凛とした硬い表情は、アンドロイドを彷彿とさせ、瞬きが一切無いから本当に人間なのか疑ってしまう。
先生の指示により、名前が正面のホワイトボードに、達筆な字で書かれていく。
教科書のような綺麗な字は、皆から注目を集めている。
今では、スマホやパソコンが日常で使われているせいか、字が汚くなることが多いらしい。
しかし、彼女の字はあまりにも綺麗すぎた。
俺も反面教師な両親のようにはなるまいと、字を綺麗に書くのは意識している。
しかし、そんな俺でも、あんなお手本のような字を書ける自信はない。
「じゃあ、自己紹介からお願いね」
「……」
「えっと、どうしたの?」
「……」
ずっと一言も喋らず、黙ったまま俺達の方向をずっと見ている。
何を考えているのか、無論表情からは全然読み取れない。
スラっとした黒く長い髪、変化のない表情。
俺と同じ170センチくらいある、女性では珍しい高身長。