初恋相手の第2ボタン
卒業式が終わって、デジカメや、両親に持ってきてもらったスマホで、写真をみんなで撮っていた。

恭弥は、女の子の列を作って、次々と泣いて帰るという、ループが出来ていた。

おそらく、振っているのだろう。

そういえば、恭弥の好きな人の話って聞いたことなかったな。

いないんだろうか。

私がなれたらいいな、なんて、この次々と振られる女の子たちを見ていたら、告白する気もなくなってきた。

「咲華」

私の名前を呼ぶ声は、お母さんだった。

「あ、お母さん」

「恭弥くんと、写真撮るでしょ?おーい!恭弥くんこっちこっち!咲華と写真撮ってくれないー?」

お母さん、なんと、恭弥を呼んでしまった。

呼ばれて恭弥もこっち来ちゃうし

「咲華のお母さん、どうも」

恭弥は、なんかお母さんに挨拶してるし。

「咲華、撮るんでしょ、ほら寄って寄って」

お母さんは、私達を近づけて写真を撮ろうとしてる。

幼馴染だから、撮りたいだけなんだろうけど。

「私が言ったんじゃないし」

「じゃあ撮らないの?もうカメラ準備できてるけど」

お母さんは構えていたカメラを下ろして言った。

「撮らなくていいの?」

恭弥まで、言ってくる。

「わかったよ。二人して言わないで、撮るよ、撮りますよ」

私は投げやりになっていた。

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